2013年10月6日日曜日

10/5 数学Ⅲ ~条件つき確率の注意・故矢野健太郎先生~

今回は“独立な試行の確率”の続き「反復試行と点の移動」「反復試行の確率の最大値」「n 回戦と反復試行」を講義した後、“条件つき確率・事象の独立”について「条件つき確率の定義・確率空間の再設定」「確率の乗法定理」「条件つき確率の利用に関する注意点」「条件つき確率のもう1つの定義に関する注意」を講義した。
条件つき確率に関する記述は、多くの教科書、参考書、問題集、塾・予備校教材に間違いが見られる(というより、そのようなものしか見たことがない)。間違いであっても答えはあってしまうため、間違いであることを認識していない著者(講師)も多いはずである。その典型を注意したのが以下の問題。



上記の解答の誤りが指摘できない人は条件つき確率の「定義」を分かっていないので、もう一度学習し直していただきたい。 この解答の誤りについて注意を促しているものは、私が知る限り、故矢野健太郎先生の「解法の手びき  確率・統計」だけである。それ以外の著者(講師)は当たり前のようにこのように書いているが、本人が本当に正しく理解しているならば、初学者相手にはその誤りを断った上で書くべきであるし、またどこが誤りであるのかも注意すべきである。それをしている著者(講師)が矢野先生以外に見当たらないのは、その他の方々は正しく理解していないのだろう。昔と違い、大学入試問題を解くのが得意だった者ばかりが、アルバイト→講師の流れで塾・予備校講師になっており、まともに数学の研究をしたことがないので致し方ないことなのかもしれないが・・・

矢野健太郎先生のことをただの参考書をたくさん書いていた大学教授くらいにしか思っていない人も多いようで、「世にいる多くの有名講師が誤っていて矢野健太郎が正しいなんてことはないだろう」なんて考える人もいるかもしれないので注意しておくが、矢野健太郎先生と有名講師ふぜいを比べるのはそれこそトンチンカンである。矢野先生は若くして東大助教授になりプリンストン高等研究所に呼ばれた程の日本が生んだスーパー数学者の1人である。むしろ、なぜこんな超一流の数学者が受験参考書なんて書いてくれていたのだろう??というのが七不思議の一つにあげられても良いくらいで、矢野先生の書籍で学習できた時代は幸せな時代だったのである。

宿題は今日の復習をしっかりとして、次回復習テストで合格点をとれるようにしてくること。
復習テストには前回以前の問題も数題入れるので、常に以前の復習を怠らないようにすること。