2012年10月3日水曜日

9/29 大学受験数学Ⅰ~新課程の“空間図形”分野について

今回は前回の“軌跡と作図”で1問残っていた問題「2次方程式の解の作図」を講義した後、“空間図形”に入った。
これまでも、高校数学Ⅰ・Aには難関高校受験範囲とかぶる部分が非常に多い(というより、ほとんど)と書いてきたが、今回の“空間図形”はその中でも特別とも言える分野だと思う。この分野は本当に長い間、高校範囲からは除外されてきた。空間図形は大学受験でも出題されているではないかと思う人も多いと思うが、ここで言う“空間図形”というのは、空間ベクトルや空間内の図形の方程式を用いないもののことであるので、長らく大学受験に出題されることは基本的になかったのだ。他大学に比べて空間図形の比率が高いとされている東大でも、何十年も前には出題していたものの、ここ30年くらいは「中学入試や高校入試をしていれば知ってて当然だよね」的に少しふれる程度の問題はあるものの、純粋な“空間図形”の問題は出題していないといっても間違いにはならないと思う。だから、この分野の大学入試の過去問がほとんどなく、この新課程に合わせて出版された数少ない参考書・問題集を調べつくしても、難関高校入試問題に比べてかなり簡単な問題しか載っていない。そこで、今回のテキストの問題ははかなりの部分を高校入試問題を用いることにした。やったことがない人は信じられないかも知れないが、何十年も前の東大の“空間図形”の問題よりも、難関高校の“空間図形”の問題(今回扱ったのは灘、早稲田実業、青山学院)の方がはるかに難しい。この分野の大学入試問題がどうなっていくのか、結果が出始めるのは2年半も後のことであるが、動向を見守りたい。個人的には、主要大学では出題されないと思っている。

今回は、「正四面体の立方体への埋め込み」と「正八面体の立方体への埋め込みと正四面体への埋め込み」を講義した。これを知っている人と知らない人とでは、正四面体や正八面体の扱いが全く違ってくる。今回はオリジナル問題を用いたが、過去の高校入試では開成・青山学院など多くの難関高校で出題されている重要問題である。また、大学入試では、2008年の東大第3問(1)で、これを知っていれば数十秒で解けてしまう問題が出題されている。



宿題は授業の復習をしっかりとして次回の復習テストで合格点をとれるようにしておくこと。
既習内容の総復習も忘れないこと。