2012年5月13日日曜日

5/12 大学受験数学Ⅰ                        中3(高校受験組)にどこまで高校数学を教えるのが妥当か

今回は「有理数と無理数」を講義した。
有理数と無理数の定義から始め、無理数の1次独立性やルート記号を外すときの注意点(ルートの中が変数の場合)などを扱った。

以前、昨年度までの「ハイレベル数学」と「高校数学Ⅰ」を合併して今年度から「大学受験数学Ⅰ」としたことを書いた。
「ハイレベル数学」は中学生向けの最上位クラスとして設置していたが、
①「ハイレベル数学」の秋までの授業内容の大部分は現行中学課程外の内容であり、高校数学Ⅰ・Aの内容とかぶっていた(それだけのことが難関高校受験では要求される)
②今年度から施行される高校数学Ⅰ・A新課程で復活した「整数」と「空間図形」という項目は、元々学年の区別が付け辛く、文科省が課程から削除しても高校入試でも大学入試でも、学校によって出題されたりされなかったりしてきた内容である(例えば、50?年位前に東大の一次試験で出題された正四角錐の切断の問題は、難関高校入試の典型問題であるのに、大学入試ではほとんど出題されなくなったため高校の参考書には取り上げられてこなかった。)
ことにより、さらに両者の内容がかぶるようになること、さらに、
③高校受験を終えた後のこと(大学受験の準備)を考えた場合、余力のある(これは絶対条件である。多くの中高一貫校はここで誤りを犯している。)中学生は高校数学Ⅰ・Aまで学習しておくことで、高校に入ってから無駄な苦労をせずに済むこと
以上の理由により、合併することにしたわけだが、生徒というのは本当に浅はかなのだと痛感させられた。

講座名に“大学受験”と入っただけで、ハイレベル数学当時とほとんど同じ内容を講義しているにも関わらず、中3生が復習してこなくなったのである。もちろん、このようなことはハイレベル数学としていた時にはなかったことである。確かに、高1生もいるわけだから、高校受験に出題される可能性がかなり低い(ただし、絶対ないとは言い切れない。理由は後述。)ものも多少は扱わなければならない。しかし、そもそも彼らは中学範囲外からどの程度高校入試に出題されているかということも認識していないのだから、与えられたものは一通り学習するのが正しい姿勢ではなかろうか? まさか、中学範囲だけで難関高校の入試問題が構成されていると信じているわけではあるまい。
中学範囲外の出題をする代表格として、国際基督教大学附属高校があげられるが、数年前に数学C(高校3年の選択科目、したがって現在は東大や京大であっても文系では出題されない)範囲から2次曲線を出題したことがあるし、ほとんど毎年のように中学の教科書には載っていないことを出題している。しかも、単なる2次曲線ではなく、円錐曲線としての2次曲線を扱っていたが、これは理系でも難関校を受験する人しか勉強しない内容である。まあ、国際基督教大学附属は少々特別かもしれないが、ガウス記号(高1後半の範囲)を出題したことのある難関高校は沢山あるし、対数(高2範囲)を約束記号として出題したことのある難関高校もあるし、中学範囲外を出題する高校などあげればキリがない。
これらの事実から、中学範囲外であっても、問題文中に十分な説明や約束記号などがあれば、高校入試に出題してもお咎め無しということが読み取れる。
では、受験する側はどこまで学習しておくのが妥当だろうか? もちろん、高校範囲全てを学習することなどできるはずはないのだから、最低限として旧中学課程の内容は学習しておき、高校1年の範囲でも「三角比」以外は余裕があれば学習しておくのが望ましいであろう。そして、中学範囲外の出題では、「初めて知る数学の内容をその場で理解して答えられる能力が試されている」という事実を十分理解して、普段の授業でも、それが中学課程であろうとなかろうと、初めて聞く内容をその場で理解して問題を解く訓練をしておかなければ、試験場で困惑させられることになるということを肝に銘じておかなければならない。
そのことをきちんと理解して授業を受けていた生徒たち(卒業生)は本番の試験でも中学範囲外の初めて知る内容にも十分対応できてきた。特に、数学の試験が非常に独特で対策しづらいと言われている前述の国際基督教大学附属高校に関して言うと、7人受験して6人が合格しているのである。この他塾ではありえない合格率の高さの秘密は何なのかを少しは考えて欲しいと思う。

宿題は、今日の授業の復習と次回復習テストで合格点をとれるようにしてくること。