2012年6月9日土曜日

6/8 数学Ⅰ

今日は「三角形の合同・二等辺三角形」を講義した。
文科省の指導要領に従った教科書はもちろん言うに及ばず、他のどの教科書も、「三角形の合同・二等辺三角形」よりも前に「作図」が配置されている。しかし、当室ではその順序を採用しない。その理由は、「三角形の合同・二等辺三角形」について学ばなければ、様々な作図の仕方の理由が理解できないからである。例えば、角の二等分線の作図は三角形の合同条件の中の“三辺相等”を根拠としているが、それすらも分からないのである。これでは単なるお絵かきにすぎない。私は生徒にお絵かきを教えるつもりはない。作図を教える以上はその根拠も一緒に教えるべきであると考えている。だから、作図はもう少し後の項目として配置している。基本的に学校よりも進度をはやくして学校よりも先に教える方針であるが、作図についてはそのような理由があるので、学校よりも指導が遅くなることをご理解いただきたい。学校では「三角形の合同・二等辺三角形」について学んでいない以上、ほとんどの作図の理由の説明のしようがない。だから、ほとんどの作図の説明はないはずなので、お絵かきだと思って気楽に聞いておいてもらいたい。

「三角形の合同」では“三角形の合同条件の証明”から講義した。三角形の合同条件についてはどの教科書もどの参考書もどの塾のテキストも、まるで神から与えられた啓示のような扱いをしているが、それは明らかな誤りである。これからあらゆる証明を三角形の合同条件を用いてやっていくわけであるのに、その根本となる三角形の合同条件を証明もせずに信じ込むのだとしたら、それは何も証明せずに信じ込んでいるのとほとんど同じではないだろうか? 
せめて「三角形の合同条件は証明すべき命題である」ことと「その証明をしない理由」を明記しておいてもらいたいものである。さらに、「二等辺三角形の底角が等しいことの証明に三辺相等を用いてはならない」ということは絶対に明記しておいてもらいたい(明記してある教科書も参考書も塾のテキストも見たことがない。それどころか、二等辺三角形の底角が等しいことの証明に三辺相等を用いているものすらある)。なぜなら、三辺相等の証明には「二等辺三角形の底角が等しいこと」が必要になるからである。それなのに、三辺相等を用いて二等辺三角形の底角が等しいことを証明したらどういうことになるか? ここまで書けばお分かりいただけていると思うが、何も証明していないことになってしまうのである。


宿題は授業の復習をしっかりとして次回の復習テストで合格点をとれるようにしておくこと。