前回に引き続き、“条件つき確率”について「条件つき確率の利用」「原因の確率」「事象の独立と積の法則」と、“確率分布と期待値”について「確率変数」「確率分布・確率分布表」「期待値」「損得と期待値」「反復試行と期待値」を講義した。
「原因の確率」というのは本質的には条件つき確率と同じなのだが、文字通り原因となるものの確率を考えるためにこのように呼ばれる。
「事象の独立と積の法則」については、まず、“試行の独立”と“事象の独立”を混同しないようにしてもらいたい。書名はあげないが、有名な塾の有名な講師の書いた参考書で、この2つを混同しているものがあるくらいなので、間違いやすいのだと思うが・・・ 情けない限りである。
新課程から「期待値」は数Ⅱ・Bに入れられたようである。昨年までは数Ⅰ・Aに入れられていたのだが、文科省の滅茶苦茶ぶりはここでも発揮されていた。というのも、「期待値」は数Ⅰ・Aで「確率変数」は数Ⅱ・Bだったのである。何が滅茶苦茶か分からない人のために言っておくと、数学において「期待値」という概念は「確率変数」という概念に対して定義されるものであるので、「確率変数」を教えずに「期待値」を教えることはできないのだ。それを「確率変数」は教えずに「期待値」を教えろというのが、これまでの文科省の立場だったのだ。そのような文科省の意向に沿うように作られた教科書というものが“まとも”であるはずがないことくらいは分かっていただけると思う。
まだ新課程の数Ⅱ・Bの教科書はできていなので分からないが、新課程からは確率変数と期待値を一緒に指導できる教科書に変わっていることを切に願う。
宿題は今日の復習をしっかりとして、次回復習テストで合格点をとれるようにしてくること。
また、授業中に話したが、復習テストでどんなに高得点が取れても、総復習テストで得点できないのでは全く意味がない(なぜなら、入試は数学全範囲での総復習テストのようなものな)ので、年明けからは総復習テストしかしないことにする。これまで、総復習テストで数点~十数点しか取れていないような情けない生徒たちには、年明けまでにしっかりこれまでの全範囲を復習しておくことを宿題にしておく。