2013年8月1日木曜日

7/31 数学Ⅲ~ユークリッドの互除法~

夏期特別時間割の水曜日は、土曜日とは別のテーマで数学Ⅲの授業を実施している。
第2回目は“素数・素因数分解・ユークリッドの互除法・記数法”の続きとして「互いに素な整数の個数」「「互いに素」の利用法」「n! が素数 p で割り切れる回数」「ユークリッドの互除法の原理」「ユークリッドの互除法」を講義した。


小学校で最小公倍数の求め方、最大公約数の求め方を習って、何問かその練習をしてできるようになると、普通の思慮深くない者は「自分は最小公倍数や最大公約数の求め方は完璧にマスターした」と勘違いをする。本当はただ単に、極めて求めやすい問題だけを練習させられていただけに過ぎないというのに・・・
我々に最もなじみ深い数である“整数”は約30年前に文科省(当時は文部省)によって、初等教育過程から外された。それ以来、ほとんどの思慮深くない普通の人は、極めて求めやすい最小公倍数や最大公約数しか求めたことがないまま、何の疑問もなく数学の学習を終えることになっている。

ところが、2000年以上も前のギリシャ時代の人々はそうではなかった。非常に求めづらい最大公約数に対してその求め方を編み出し、習得していたのである。それが、ユークリッドの互除法である。例えば,31411 ,72619 の最大公約数を求めることを考えてみてもらいたい。我々が小学校で習う方法では全く太刀打ちできないことに気付けるはずだ。両方を割ることのできる共通の約数が簡単には見つけられないからだ。
このような問題を解決する(その効用はそれだけではないが)画期的な手法であるユークリッドの互除法が高校数学ⅠAに復活したのは喜ばしいことである。ユークリッドの互除法を知っていれば、どのような2つの自然数の最大公約数も(従って、最小公倍数も)求めることが可能である。

ユークリッドの「原論」は、世界で2番目に多くの人に読まれた本と言われているように、ギリシャ時代の人々は今と違って、非常に勤勉だったようである。当時は印刷技術もなかったのに、どうやってそれほど多くの人に読まれたのかというと、書き写して勉強したようだ。2000年以上経って、当然ながら進化しているはずであり、知的レベルもずっと上がっていなければならないはずの現代人には、そのような勤勉さは微塵も感じられないが、せめてユークリッドの互除法を理解して使えるようになるくらいのことはあってしかるべきであろう。(すでに東京大学の入試問題ではユークリッドの互除法がテーマとなる問題が出題されている。)


 宿題は今日の復習をしっかりとして、次回復習テストで合格点をとれるようにしてくること。
復習テストには前回以前の問題も数題入れるので、常に以前の復習を怠らないようにすること。