2013年8月5日月曜日

8/3 数学Ⅳ ~数学的帰納法の誤解に見る          「教師、塾・予備校講師の質の低下」~

今日は“数学的帰納法・数列の帰納的定義”について、「数学的帰納法の原理」「数学的帰納法」「数学的帰納法を使う場合の答案の書き方」「数学的帰納法の変化型(1)」「数学的帰納法の変化型(2)」「数学的帰納法の変化型(3)」「数学的帰納法の利用」を講義した。

数学的帰納法を「将棋倒し」や「ドミノ倒し」を例にして説明している参考書、塾・予備校テキスト、塾・予備校講師、教師が多い(というよりほとんどである。私も学生時代このような説明を受けた。)が、この説明は不適切である。数学的帰納法の原理は自然数の定義の一部すなわち自然数の本質であり、数学的帰納法の原理によって自然数に関する命題を証明できるということは無条件に受け入れなければならないものである。これは自然数が無限集合であるが故のことであり、無限というものをとらえきれない人間にとっては致し方ないことなのだ。もちろん、n が有限なら「将棋倒し」や「ドミノ倒し」の例で構わないのだが、有限と無限は本質的に異なるものだということを忘れてはならない。でなければ、「無限に並ぶ将棋駒(ドミノ)が次々に倒れていくとして、いつになったら全部倒れるのですか?」という答えられない質問をぶつけられることになってしまう。
また、「毛が何本抜けてもハゲではない」ということを数学的帰納法で証明できるが、それは現実には合わないので、数学的帰納法は万能ではないなどと、本物のアホとしか思えないことを堂々という教師や塾・予備校講師もいる(田舎育ちで近くに塾がなかったので、長期休暇中に予備校の講習会に参加したこともあったが、そのような講義を某予備校で受けて、呆れてその後の講義を受けなかった記憶がある。他に何人もそのような授業を受けたことがあるという人を知っている・・・)が、そもそも数学的帰納法の原理は自然数に関する“命題”の証明を保証するものであるということを忘れてはいけない。ハゲであるとかないとかいうことは、その人の感覚によって判断が違うので命題でないのは小学生でも分かることなのだが・・・

教師、塾・予備校講師の質の低下は20年以上前から進んでいたということなのだろう。

 宿題は今日の復習をしっかりとして、次回復習テストで合格点をとれるようにしてくること。
復習テストには前回以前の問題も数題入れるので、常に以前の復習を怠らないようにすること。