今日は「因数定理の因数分解への応用」を講義した。
因数定理は因数分解を行う上で非常に強力な定理であるが、当然ながら万能ではなく弱点もある。その弱点を理解してもらうために、中学生にもなじみのある素因数分解を例にして説明の導入とした。素因数分解は中学入試をする生徒なら小学生の時に扱う内容でもあるので、とても簡単なものというイメージが強いと思うが、実は大きい桁の数の素因数分解は非常に難しいのだ。素因数分解は実は難しいというイメージがない人は1111111の素因数分解を考えてみていただきたい。(もちろん、2以上の自然数の素因数分解の存在と一意性は証明されているので、原理的にはできるはずなのだが、実際にできるかどうかは別の話である。)多分できないと思う。つまり、我々が日頃見かける素因数分解の問題は“絶対にできる簡単な問題”だけで、それは出題者が意図的にそうしているからなのである。でないと出題者にも答が分からないというようなことが起こってしまうのだ。
多項式の因数分解も同じことで、大きい次数の多項式の因数分解は因数定理が使えるものと複2次式以外はほとんど出題されない。なぜなら難しすぎてできる人がいないから。因数定理が使えないもので出題される可能性があるのは4次の多項式が2次と2次に因数分解されるものだけである。このようなことを知っておけば、因数分解の問題を見たときの方針が立ちやすい。つまり、2次式の場合は中学で習う因数分解の公式で、3次式の場合は3次の因数分解の公式または因数定理で、4次式は複2次式なら複2次式の解法で、でなければ因数定理で、因数定理も使えないなら(2次式)×(2次式)という式を立てて係数を比較して解けばよいのである。
宿題は、今日の授業の復習と次回復習テストで合格点をとれるようにしてくること。